本論三・バカと天才は紙一重だ。

 そして、目前に迫った頭蓋骨たちの塊を──飛び越えた。

 真上には、〈ワシリーサのしるべ〉の後頭部がある。あまりに巨大すぎて、その向こうにあるはずのワシリーサの街並みはほとんど見えない。

 オキツグは右手をハンドルから離した。

 巨大な頭骨の、もっとも影が濃い部分。天頂との距離が近い場所に、ババ・ヤガーが捺した印がある。

 オキツグの右手薬指には、術者と魔法の、ババ・ヤガーと〈ワシリーサのしるべ〉の縁を繋ぐ指輪が。

「飛、べぇえええええええええええええ!!」

 咆哮。そして、その直後──