二、アルヴィンス・ガザの導き
──か*─総て ──終わりへと導く。
途切れ途切れの文章。
終わりへと導く。それが私の使命だった。後はお前に任せる。──王女は最後の力を振り絞り、それだけ言い残して息を引き取った。奇しくも安らかな笑みを浮かべながら。
結論から言えば、己れは死んだ。
王女と騎士団が全てを賭して守護してくれた命を自ら捨てた。
突撃という最も愚かな形で。
だが、王女から託された使命は、最期の命令だけには背くことはできない。許されない。
ならばなぜ己れは間抜けに死んだ? この世で最も返しがたい恩を受けた王女と騎士団の思いを踏みにじるような行動に及んだ?
後悔ばかりが募った。それはやがて自嘲になり、自己卑下となった。
そして果たせぬ約束と知りながらも果たさねばならないという止楊に辿り着いたころ、己れは目を覚ました。
世界の最下層。暗く閉ざされた地獄で。
後悔、というのが簡潔で正しいのだと思う。ただ、それだけではない。
重なり、折り合い、積み重なった後悔は────固き約束となった。
『鋼の誓い』
感情というには程遠い表現だが、それが己れの力の核だ。
◇・◇・◇
「ちょっと待ってくれ。アルヴィンスはなぜニーナを探しているんだ?」
ふと。ロビンが問いかけてきた。
『そうだな……』
回答に困る。
なぜならこれは推測であり、未だ答に辿り着けていないただの予測なのだから。
己れは地獄にいた頃、厳冬の地で、王女から託された欠片と同一の材質で出来ている欠片を見つけた。その欠片にはやはり古の文字が刻まれており、断片的にだが読み取る事ができた。
──から の望みを──最期へ────女神が**道標は し。
このままでは読解はままならない。