二、アルヴィンス・ガザの導き

 が、端々の言葉から何が鍵になっているのか、という事ぐらいは予測する事ができる。

 王女から引き継いだ使命、終わりへ導く事。

 何を終わりへと導くのか……それも分からないままだが、地獄で見つけた欠片には『最期』という単語がある。

 そして次の文章では『女神』と『道標』。

 この二つの単語の間に入る言葉があるとすれば、それはもしかしたら『示す』ではないだろうか。

 都合の良い解釈かもしれない。もしかすると違うかもしれない。

 ただ、思考を止めるのは本当の意味で死を迎える事だ。精神の死。心の死。

 答が欲しくば、抗い、求めなければならない。


『ロビン、もしも己れが妹御を助けられるかもしれないと言ったら、お前は信じるか?』


 己れの言葉に対するロビンの反応は、肯定の頷きただ一つだけだった。

 言葉はない。たかが三日間丸々話し続けただけの間柄。しかしロビンの目はどうだ。完全に己れを信じきっている。

 希望的観測。

 もしかしたら、かもしれない、だったら。

 たとえその希望が蜘蛛の糸よりも細かろうとも、すがり、手繰り寄せ、登ろうとする。

 それは明らかに無謀で馬鹿馬鹿しい愚行だが、動く者にしか見えない風景が。抗い、求め続けた者にだけ訪れる答がある。

 同じだ。

 厳冬の地で欠片を見つけ、ヴァルハラまで登り詰めた己れと。

 己れはその時、王女との出会いに似た、親しい者との間に生じる信頼関係というものを感じ取っていた。

『…………己れの知っている全てを話そう』

 どうやら本当に運が回ってきたらしい。