02.マドンナの秘密
大物を相手にしているのだから仕方のないことなのだが、さすがに連戦は厳しいものがあった。
「それにしても──なんだかアンバランスですね」
ダイヤルを回しながら、キースは呟いた。
一桁目はすぐに判明。
「なにが?」
控えめに問うローザは、聴覚に集中する作業を気づかっているのだろうか。
二桁目に目星をつけながら、キースが答える。
「警備員の装備は最新型なんですよね。でも、鍵の方はそうでもなくて……電子錠とか、生体認証とか、なかったじゃないですか」
言いながら、二桁目を確定。三桁目のダイヤルを回し始める。
ローザは何も言わない。サイラスも黙ったままだ。
「……えーっと、僕なにか妙なこと言ってます?」
「いいえ」
否定の言葉は速かった。
囁くような、それでいて堂々としたローザの声が続く。
「内戦時に使用される武器の話になるけれど、政府側はともかくとして反政府側の質は基本的に悪いわ。そういうときに他国が絡んでくると、良質だったり最新式だったりする武器が流れていくんだけど、今回の場合」
キースはローザの言葉を頭に入れながら、開錠の作業を続ける。
三桁目、判明。