第2章
震える喉をむりやり呼吸に従事させる。握りしめた実包は、さっきよりも重くなっているような気がする。疲れのせいだろうか。底に収まる肉のような石は、あいもかわらずぬめぬめと光っている。
過去を思い出すつもりが、いつの間にか──と言って差し支えないほど自然に──復讐のイメージを作りあげてしまった。実際、僕は二発目なんて撃っていない。撃ったとしても、命中しているはずもない。
そもそもあの日、グレッグ・ブリューを殺せていれば、復讐代行なんて頼む必要がない。
これでいいのだろうか。呆然としながら、僕は電話を取る。紙に記された番号をプッシュすると、コール音三回ののちにヴァージルが出る。
「はい、こちら復讐代行」
震えはすでに引いていた。