序論・コタツでアイスはテッパンだ。
「ふ──オレとライジング・フリーの前に立ちふさがるものなどない! そう、風すらも!」
オキツグが高らかに言うと同時、風が彼の障壁──ベランダに出るガラス戸を開放した。
冷え切った外気にカネミツがひるんでいる隙に、オキツグは外へ。地上二十七階の高さから、自転車にまたがった状態で飛び降りた。
解き放たれた右目の包帯が、尾を引いて流れていく。
「今回ぐらいはその厨二発言控えろっつーのこの野郎!」
「ライジング・フリー、システム・シフト! レボリューション・ゴッド・インフニティ! オレとライジング・フリーの最速を目にとめてみせろ!」
「聞けぇえええええええええええええええええええええええ!!」
アイスの恨みによって始まった戦いは、地下都市全体を舞台にして幕を開けてしまった。