Code5:JOKER
「ばっ、爆破はヤメテ! ヤメテください! スミマセン!!」
条件反射のように謝罪を繰り返すノーネーム。おおよそ司令室でかわされるような会話ではないのだが、彼らがそれを察する気配はない。
結果的に、三人の直属上司であり、部屋の主でもあるクレイグはその会話を見守ることになるのだが、パイロットたちの性質を知れば知るほどそれぞれの機体との相性がいいということを思い知らされる。
ノーネームと「完全なる隠密」ドゥーヴァ。
モン・チャンと「絶対帰還の特別攻撃」ブローズグハッダ。
ブラッド・ベイリーと「不可避の弾幕」コールガ。
特に、ブラッドとコールガの相性はクレイグも目をみはるものがある。適合するものがいないとして、封印されることとなったコールガ本来のコンセプトすらも易々と受け入れてしまいそうだ。
「──そろそろ、こちらの話に移っても?」
クレイグの言葉に、三人が反応する。ブラッドは軍人らしく姿勢を正し、チャンは心なしか安心した様子で、ノーネームは肩を跳ね上げてから縮こまる。
三者三様。互いにかかわることなどなかったであろう人間がここに集っているのは、「死にかけたものの、生き延びることができた」という、幸運なのか不運なのか判断に困る共通点があったからこそだ。
それでもなお命のやりとりを行い、帝国を敵にまわして、試作機の域を出ない機体に乗り込むのだから、それなりの考えはあるのだろう。命の尊さだの、命を賭けるべきときだの、そんな言葉は本当の意味でなんの力も持たない。
ゆえに、クレイグは命じる。