Code4:PECHEUR
相手には、コールガの友軍機──ブローズグハッダとドゥーヴァの姿は見えていない。ブローズグハッダは雲の中に潜み、ドゥーヴァは完全なるステルス能力で戦艦の目すら欺く。苛烈さを増すドッグ・ファイトに、海上のレヴィアタンと護衛艦は介入する隙間もない。
実質的な一対一。
ブラッドは、その結末をAIの力を借りて予測する。ペッシャールの一手先を、二手先を読む。今までの行動から動きのクセを探し出す。そして──
戦力を確認。さきほどの被弾がコード・マジックにどれだけの影響を与えているのかシミュレートする。
七八パーセント。それが、AIがはじきだした、今のコールガが撃てるコード・マジックの威力だった。
普通の機体とパイロットを相手にしている場合は、それでも十分な数値である。しかし、一〇〇パーセントのコード・マジックすら回避したペッシャールを相手に二二パーセントの損失は大きい。
最低でもペッシャールを抑えこみ、可能であれば墜とすことが望ましい今の状況を考えると、三〇パーセントのパワーブーストを行わなければならない。あるいはコードの変更を実行し、ペッシャールに対応したコード・マジックを作り出さなければ。
──思考しろ。
AIと同調したブラッドの意識は、ペッシャールとの戦闘と戦闘シミュレーションを同時並行的に処理し続ける。ペッシャールの裏を突くコード・マジックを創りだす。
「……コード・マジック変更。新方式にて魔法陣を組み直せ」
口頭でコマンド。魔法陣の構築プログラムを起動し、同調(リンク)した脳からイメージを送信する。