Code3:LEVIATHAN

 ドゥーヴァに対応するので精一杯な敵勢力は、いまだこちらに気付いていないらしい。今の内にブローズグハッダから離れ、その存在をギリギリまで隠しておきたいところだ。

 充分に近づいてから、ブラッドはコールガの鼻先を下に向け、一気に降下。雲を突き破りつつ、ドゥーヴァの無線にアクセスする。

「こちら、ブラッド・ベイリー。コールガパイロットだ」

 言い終わり、返答がくるまでの間にコールガは雲を抜ける。白に包まれていたモニタは一面の深い青へ。空とは違う海の色を映し出す。

 その中に浮かぶレヴィアタンと四隻の護衛艦は、白い波の線を引きながら移動を続けている。各戦艦の両舷に並ぶ対空ミサイルの射出口がこちらを向いているのを見とめ、ブラッドは操縦桿を傾けて軌道を変更。コールガはヒレをたなびかせて本体の位置を紛らわす。

『──こちら、ノーネーム』

 硬い声音で「名無し」を名乗る言葉が返ってきた。

 気をとられかけるが、意識的に振り払う。最後まで追尾を続けたミサイルに対して反転して迎撃し、空中で爆発させる。

『ドゥーヴァパイロット。陽動は、いつまでやればいい?』

「今回の主砲であるブローズグハッダが準備を終えるまでだ。俺もできるだけ護衛艦を沈める。正面に来ないよう気をつけてくれ」

『わかった。相手がそちらに気を取られてる間に、可能な限り敵の武装を破壊する』

 無線の声が終わるか終わらないか、というタイミングで、下方で熱線のような弾道がレヴィアタンのミサイル・ポッドを貫いた。