Code1:KOLGA
ちらりと後ろを振り返ってみれば、数個の黒点が軌道を変え、エンジンブーストの燐光を散らしながらこちらへ近づいてくるのが見えた。
敵機は旧型。であるが、速度よりも火力を重視されたコールガが逃げ切れる道理はない。
なにせ相手は、三〇〇を越える友軍の中から、特に追走が得意な機体とパイロットを選ぶことができるのだから。
逃げ切ることは不可能。であれば、撃破するしかない。
三二七機、全てを。
そして、敵軍を全滅させることならば──コールガには可能だった。
ブラッドの操作に従い、コールガは尾を振りながら反転。真下を向いて、追走する敵機に顔を向ける。
先行して追撃をしかけているのは六機。その遥か下方で、ひとかたまりになっていた三〇〇の黒点が数個のグループに分かれてコールガの包囲を始めていた。
「コード・マジック、発動準備開始……!」
頬を伝う冷や汗を無視して、ブラッドはコールガにコマンドを入力する。
瞬間、モニタ上に半透明のウィンドウが連続してポップアップ。インジケーターバーとパーセンテージが表示され、準備終了までのカウントダウンが開始された。
コマンドを確認_
これよりコード・マジックの発動シークエンスを開始します_
遅れて、AIが返答。
インジケーターバーが青く染まりはじめ、パーセンテージは徐々にその数を増やしていく。
ブラッドは視界の端でそれらを確認し、すでに形が分かるほどに接近していた先行部隊の一機をロック・オン。
操縦桿のトリガーを引く。
コールガの本体、額部分に埋め込まれた主砲が火を噴いた。