「生きて帰ってきたら、清算活動に意欲を燃やせよ」 しかし、蓋を開けてみればなんのことはない。 「あの精霊の子供を救えるのは、お前だけなのだから」 例え無免許であろうが、闇医者であろうが、外法であろうが、命を助けたい。 イアンはどこにでも居るような、ただの医者だった。 「行けよ。脳筋」 幻覚か幻聴か。 横顔だけ覗かせて薄く笑うイアン。 闇医者の意思を読み取ったリッキーは、歯をギシリと噛みしめて壁から背を離し、そのまま全力で瓦礫の山を駆け抜けた。