第二章 危殆はトラブルと共に
その声色はどこか怒りに満ちていて、その口調は何故か軽快で、顔に張り付いた表情は──凄惨な笑みだった。
「その精霊の子供、莫大な魔力さえあれば契約が可能だと」
イアンがそう言って凄惨な笑みを邪悪な笑みに昇華させた直後だった。
カソックの男の口元が僅かに歪み、リッキーとイアンの周囲を霧が取り囲んでそこから一斉に骸骨たちが飛び出し、二人目掛けて襲い掛かった。覆い被さるように迫る白い壁に逃げ場はない。無数の白腕が上下左右四方八方から振るわれ──
爆発。
爆発による爆発。
爆発によって爆発に相成る爆発の連鎖でもって爆発と爆発が折り重なり、膨れ上がる爆風と爆炎が建物全てを飲み込んで大爆発を巻き起こした。
空気が震撼するほどの轟音が治まる頃には、それまで家屋を形成していた建材のなれの果てだけが辺りに散らばっていた。