第二章 危殆はトラブルと共に
灯台下暗しとはよく言ったものである。
なぜならそのコミュニティーは、大通りに隣接しているのだから。しかも驚くことにアザリア行政の中枢街からでも十分に近い距離にある。
「……どうか、お許しを」
ぽろりと洩れるクローク姿の男の言葉。
その言葉は一体、誰へ向けられたものだったのか。
犠牲となる街路児へ向けてか。はたまた無意識のうちに出た懺悔だったのだろうか。手を組み、視界を閉ざし、ともすれば祈りを捧げるように男は免罪符を乞う。
そんな、
そんな状態だったから、あるいは仕方なかったのかもしれない。
黒を纏った骸骨がカラカラと珍妙に笑いながら背後に忍び寄っているという事にも男は気付けなかった。
両腕を広げ、男に覆い被さるように迫る骸骨。
そして次の瞬間──