第4章

 デュランダルゲーム内における、スマホの役割はいろいろとある。

 自己パラメータの確認、フレンド申請、アイテムの保存、イベント確認、ログアウト等のインフォメーション機能。

 通話可、メール可。

 ゲームにログインし、キャラが作られた瞬間から、スマホはプレイヤーの持ち物として存在する。

 これがデュランダルゲーム内のルール。

 彼女達には各機能が制限され、彼女達はスマホの存在、機能を知らない。

「スマホ……」

 いつきから説明を受け、えむは自分の中でその存在を確認する。

「あるとすれば、あそこだよね……」

 いつきが思い当たる場所を口にだす。

 あるとすれば、満身創痍で逃げ出して来たあの施設。

「あの場所に戻るには力が足りない。自分に何ができるかもわかってない」

 えむは、手を開いては閉じを繰り返し、自分の身体が動くことを確認する。

 馬鹿力、自分では制御できないほどの力がえむの中には存在する。

「しばらくは外に出て、情報集めよう」

 えむの発言に、寝ているなまえ以外が頷く。

「戦闘も経験しときたいよね……」

 いつきがつぶやき、みんなが自分の手を見る。

 施設を逃げる時に力を使った者もいるが、それがどんな力なのかを自覚してる者はいない。

 経験が一切ないのだ。

「まだ、僕達を追ってきてる奴らはいないみたいだし、今日は休憩しよ?」

 どぅの発言に賛同するかのように、えむは身体の力を抜く。

 えむとなまえが目を覚ましたのに重い空気は続いた。