第3章

「ニッシッシッシッ」

ようの笑い声が聞こえた方を三人が振り向くと、寝込むえむとなまえの口に、HPUPルパイを押し付けるようの姿が目に入る。

「ちょっ、ようさんもうちょっと優しい食べさせ方あるでしょ」

 いつきが止めに入るために近づくと、苦しげに目を開けたえむと目があう。

 目を覚ましたえむは目を見開くと身体を起こしいきなり臨戦態勢に入る。

 周りを見渡すと馴染みの顔しか目に入らないことに戸惑いながらも臨戦態勢を解く。

「私達、無事に逃げれたんだよ。 身体、平気?」

 いつきが簡単に現状を伝え、えむの身体を心配する。

「……平気」

 えむは軽く屈伸をし、身体の異変を確かめる。

 逃げるときに骨も、筋肉も、皮も損傷していたはずなのに綺麗に治っている。

「なまえさんは目、覚まさないね……」

 えむが目を覚ましたことに安堵はしたが、もう一人寝込んでいたなまえはまだ目を覚まさない。

 口に押し付けたHPUPルパイは、綺麗に姿を消している。

「私とは状態が違うのかな?」

 目を覚まさないなまえにえむが近づき、状況を確認する。

 規則的に呼吸を繰り返し、苦痛がないのか、眉間に寄っていたシワがなくなり、口元は幸せそうに口角が上がっている。

「こいつ、寝てる」

 呆れたようにえむが告げると、心配がなくなり、全員がなまえを放置することに決めた。