第1章

「しおんさん正座!!」

 出かける前にいつきがしおんにお願いした情報は、自分たちの追っ手が周りにいるのかと、この世界の細工だ。

 ゲームだということはわかっている。彼女たちの記憶に辛うじてある常識とこの世界はルールが一致しない。

 調べれば自分たちがログアウトする方法があるかもしれない。

「僕が変わりに集めてくるよ ……ようさん、もうそれ着たんだ」

「……ニッシッシッ」

 いつきに怒られているしおんの変わりにどぅが外に行こうとする。

 扉の前にはすでに体操服にブルマ姿のようが、どぅの分の体操服を差し出して立っている。

 どぅは自身の纏っている布切れと体操服を見比べた後に体操服を手に取り袖を通す。

 袖を通すと胸の所にある、名前を書く欄が発光し、『どぅ』と表示される。

「ぉおー」

 初めて手にする自分だけのものに小さな感動を覚える。

「じゃあ、ちょっと辺りうろついてくるね」

「ニッシッシッ」

 ようが手を振り見送ってくれた。