第一章 日常茶飯/街の風景A
このアフター*ダークを始めて四年もの歳月が経っているが、少女は、たかがゲームが作り出すリアリティに未だに驚かされている。
アフター*ダークとはいわゆるオンラインゲームで、プレイに必要となる機器――専用ハードとヘッドセットは製作元のGUILDに連絡すれば無料でレンタル可能であるため、比較的簡単に且つ誰でも参加する事ができる。
いや、『できていた』と言った方が正しい。
超爆発的に増加したプレイヤーの人数が想定の上限に達してしまったのだ。それが去年の事。アフター*ダークを運営するGUILDは現在、大幅アップデート作業中。機器の新規レンタルは停止中なのだった。
それにより非純正品の流通やロットナンバーの偽造など、どうしてもプレイしたいという人々が外法に手を染めてしまうケースが最近目立つようになってきているのも事実だ。
オンラインゲームにカテゴライズされているアフター*ダーク。なぜこのゲームが、これほどまでに求められているのか?
その理由は、アフター*ダークのゲーム性にあるのかもしれない。
例えばロールプレイングゲームは、魔法や剣を駆使してモンスターを倒したり、世界を救ったり、現実ではあり得ない空想の物語の中で行動する事ができる。
シュミレーションゲームで言えば、各キャラクターとのセッションやイベント、ムービーコンプリートを楽しみ方の一つとしている節がある。
格闘ゲームはCPU対戦を始め、ユーザー同士の対戦、加えてオリジナルキャラクターを作成してランキングに参加が可能であったりする。