第三章

「自ら道を選ぶなら、他のことを考えずに悔いない道を選べ。他人の言葉も、他人の思想も、他人の都合もどうでもいい。自分自身が後悔しないなら、その道が最善だ。自分に関わることならば、なおさらな」

 刺突をかわされ、剣の腹を蹴りあげられた。

 突然の衝撃に右手がしびれ、剣がレビの手を離れて床に刺さる。とっさに柄へのばした手を遮るように、大鎌が〈十三番〉の背から飛来。剣と同様、床に刃を突き立たせた。

 風を斬る刃は、風の象徴。うまく使えば、両手がなくとも任意の方向に投げ飛ばせる。

「お前の選択は、お前にとって最善か?」

 剣を取ろうとしていたレビの手が、ぴくりと引きつった。

 誰だって、自分の思想が無視されることは耐えきれない。意志も、思いも、感情も蔑ろにさえる人生に、意味を見出せるかと問われれば、レビだって答えは否だ。

 それでも、仕方がないと割り切って生きてきた。妻を喪って悲しむ男の気持ちだって、分からないこともない。娘である自分が父親であるエイドを殺すことなど、とんでもないことだとも、思っている。親だから、という感情以前に、家族を大切にしたいという気持ちがあることも、レビは自覚している。たとえ、それが一方通行だったとしても。

 ──けれど。

 だからといって、自分を殺すことが正解だろうか? それは、レビにとっての正解ではなく、エイドにとっての正解で、エイドにとって都合のいい結末なのではないだろうか?

「居場所がなくなる、というなら、その程度は保障しよう。変容を迫ったのは俺だからな」