四、漆原鋼介

 僕が持っている大切なものの話を、しようと思います。

 長くはなりません。だって僕が持っている大切なものは、決して多くはないのだから。

 指折り数えられる程度です。両手はいりません。片手で事足ります。事足りてしまいます。

 だから。

 指折り数えられる大切なものが、僕の全てです。全てと言って、過言ではありません。

 僕には、祖母がいます。

 祖母は昔、軍の開発部にいました。国を守るための機械を作っていたのです。名称は、たしか──MADO。

 しかしこの機械、どうやら普通の人は乗ることができないようで、選ばれた特別な人しか乗れないのだそうです。なんて話を聞くと、乗ってみたくなるのが子供心といいますか、男心といいますか。

 僕らが住むキャンプ地には、実は秘密の地下室があって、そこにはいろんな設計図と、全長十メートルくらいの人型ロボットがあることを僕は知っています。乗りました。乗り込みました。子供心といいますか、男心といいますか。いわゆる、好奇心というやつに駆り立てられ、僕はそのロボットに搭乗したのです。

 コクピットは子供の僕にしてみれば広く、いろんなボタンが付いているのかと思いきや、そんなことは全くなく、せいぜい十個未満といったところでしょうか。代わりと言うにはあれですが、モニタがたくさん付いていて、僕はまたまた好奇心で電源らしきスイッチを押してしまいました。

 起動シーケンス、という機械音声のアナウンスが聞こえた直後、操縦桿と思しき物が二本、飛び出してきて、座席の後ろから大量のケーブルが伸びてきました。