〇〇七

 普段から遅刻も欠勤もなく、真面目な社員であるらしいが。

「そいつ独り身でなぁ……家族は遠方に住んでるし」

「では、出掛けていたとしてもそれを分かっている人がいないのですね」

「ああ。今はうちの女房が見に行ってくれてるけどよ」

「そうでしたか」

「悪いな、社員のせいで迷惑かけちまって」

「いえ、お気遣いなく。作業の支援も自分たちの仕事なので」

「ありがてえ。アンタらのおかげでどうにか作業も進んでらぁ」

「お役に立てているのなら光栄です」

「まあ、社員の事はこっちでなんとかするから、アンタらはあんま気にしないでくれ」

「そう、ですか。もしものことがありましたら、軍部に捜査依頼を出すことも可能ですのでその時は」

「ああ。遠慮なく頼らせてもらうよ」

 そう言って監督は水を一気に飲み干した。