第一章 日常茶飯/街の風景A

 後はNICE☆GUYの店員達が、盗人の情報を掴めば即刻動けるのだが――

 その直後だった。

 アキラの手に収まっていたスマートフォンが電子音を奏でた。画面にはステファニーとの表示。店員からの電話である。

 アキラはすぐさま受話ボタンをタッチし、耳に押し当てた。

「はい、アキラ。うん……うん。ルートは? マップデータ送って」

 相手と必要最低限、最速のやり取りをしているのであろう。口調が早い。

「うん。たぶんGPSでなんとか」

 と、ここで突然マ王がアキラに向けて右手を差し出し、会話を中断させた。

 戸惑いながらアキラは訪ねる。

「え? ま、マ王?」

 訥言敏行。

「貸せ。俺が訊いた方が早い」

 マ王の瞳には、静かな怒りが満ちていた。