二、アルヴィンス・ガザの導き

 また、四大を保有すると判断された人間の魂は地獄(ヘルヘイム)に叩き落とされ、永劫囚われの身となる。

 事実、己れも一度は地獄に堕ちた身。

 無論、ロビンも堕ちているはずなのだが一部記憶が抜けているらしい。

 そんな己れたちが何故ヴァルハラに存在しているのか。

 答は簡単だ。──ヴァルハラへ至る方法が他にもあるからである。

 考えれば難しい事ではない。戦乙女たちが地上に降り、その後どのようにしてヴァルハラへ帰還しているのかという事を考察すれば。

「……アルヴィンスは、なぜヴァルハラに?」

 現状を説明している途中、ロビンは唐突に己れに尋ねてきた。

『探しものだ』

「探し、もの……?」

 そしてそれは、

『ロビン、お前ができることならば取り戻したいと願っているものと一致する』

「……どういう」


『ロビン。お前まさか、妹御が死んだとでも思っているのか?』


「……!?」

『考えてみろ。戦乙女は自ら人間に手を下す事はできない。ただ、魂の拘束は可能なんだよ。己れたちがいい例だ。お前は覚えていないだろうが、己れたちは一度地獄に堕ちている。そしてブリュンヒルドは「女神であるニーナ姫の覚醒を促す」と言ったらしいな』

「だけど僕はこの目で!」

『──四肢を切断されるのを見た、と。血しぶきを見た、と。だから死んだと?』

 では、

『己れたちは一体なんだ? 心臓は動いている。腹も減れば眠くもなる。肉体は失っているのに、だ』

 肉体とは器だ。

 存在を閉じ込めておくだけの殻にすぎない。暫定的な在り方にすぎない。