六、存在意義
蒼衣がYESを選択した瞬間、ブラン・エフェメラルの機体が鋼介の人型機体胸部に空いた穴に這入り込む。突き出たブラン・エフェメラルの機尾が四つに割れスライドして、隠れていたオーバードブースター総計八基がその姿を表した。
コクピットは二つ。
上部に蒼衣が。下部に鋼介。
接続の最中、敵機オニキス・ライトが再度放ったクラスターミサイルの嵐がブラン・エフェメラルに殺到するが、二人は合図なしで同時に操縦桿を倒した。
直後。
ブースターが灼熱。羽のように広がったフォトンが空気を弾き、機体が消えた。
今までの速度の比ではなかった。一足で音速を超え、衝撃波をまき散らしながら弾幕を潜り抜ける。
殺到するクラスターミサイルの弾頭。
──まだだ。
爆風のその刹那の。
──まだ上がる。
光が瞬くその一瞬を。
──まだ、行ける!
ブラン・エフェメラルは、蒼衣は、鋼介は、潜り抜ける。
そして体現する。到達する。機体コンセプトへ。白に与えられたその名の存在意義へ。 ブラン・エフェメラル(誰も追いつくことのできない刹那)へ。
「────ぉ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「────ぅああああああああああああああああああああああああああ!!」
そして照準。
火力のすべてを躱しきったブラン・エフェメラルが相手の懐に潜り込んだ。
ここが領域。
──斬る。