五、黒光

【ヒヒイロガネの反応あり】

【ポイントデータを取得しますか?】


 取得中**********


【パイロット、データを更新。座標をセットしました】

【これよりオートドライブモードに移行します】


 **********移行は正常に完了しました。


【二分後に到着します】



   *


 医療テントの隣。ビルの廃墟を利用して作られた簡易工場から聞こえてくる金属音が鳴りやんだ。鋼介が作業を終えたらしい。祖母の綾乃から借りた工具と目的の物を持って工場から出てくる。

 顔が煤だらけになっていた。

 石を加工するのは初めてではないから、それほど苦労はしないと思っていたが、あの高価な石ころは強度が違った。まず、馬鹿みたいに火力を上げないと形状を変えることができない。そのくせ、中途半端な温度で叩くと欠けてしまうのだ。

 実際、鋼介は石ころの半分くらいを砕いてしまった。

 結果的に完成はしたからよかったのだが、思っていた大きさにはできなかったのが心残りだった。

 しかしこの石ころ。不思議なことに、熱せれば熱すほど、赤く赤く、赤みを増す。それが冷えても色は消えない。

 ルビーに似ていた。だが、そこまで透き通ってもいなかった。

 石や鉱石にはあまり詳しくないから専門的なことは言えないが、綺麗ではなかった。

 光沢のない赤。

 ──うん、でも、気持ちだよね。プレゼントは。

 そうやって思い直す鋼介。あとは今日誕生日を迎える蒼衣を探して、渡して、祝って。