第一章
この馬鹿げた話を鵜呑みにするつもりはなかったが、私は思い出してしまった。私が小さい頃、遊んでいて大怪我をして病院にかつぎ込まれた時に、祖母がずっと私の手を握り耳元で何か呟いていたことを。退院をした時、主治医の先生に驚異的な回復力と笑われた。あれが祖母の力だったのだろうか。
「その約束って言うのはな、お前の安全だよ、美咲」
「えっ!?」
「お前はな、不思議なもんを惹きつける体質なんだよ、妖怪、幽霊、この世の陰をお前は惹きつける、例えばこの本だ」
私も中身を見たが中身が真っ白な変な本だった。
「この本は魔術書だ、詠めば魔術が使える代物だ」
そう言ってから創は本を開き何か呟く、すると座っていたイスごと宙に浮いた。
「えっ? はっ?」
「お前はその体質のせいで狙われてるんだよ」
創の言ってることは、半信半疑だ。でも当てはまることは最近よくあるのだ。
「妖怪も幽霊もそうだが、一番身近なのは人間だろう。そいつらから守ってやるよう俺は、婆さんと約束した」
創は何のためにそんな、約束を祖母とかわしたのだろうか。
「いつでも来い、次はコーヒーくらい出してやる」