目が覚めたら

 目を覚ますと綺麗な天井が目に入る。

 そろそろクドいのでやめようと思う。

 目を覚まして部屋を見渡す、昨日の見慣れない部屋だ。

 夢でも幻でも妄想でもないようだ。

 起き上がり、ベッドからでる。

 ラジオ体操第一を踊る。思ったように身体は動く、体力はないと言われたがラジオ体操くらいは大丈夫みたいだ。

「それはなんて踊りだい?」

 いつの間にか若頭こと、俺の父が部屋に入っている。

 この家の人は、静かに入って来すぎだと思う。うるさかったのは、兄と姉のくらいだ。

「身体動くのかなって適当に」

「んっ? エル、それはなんて言ってるんだい?」

 言葉が理解できるのだからと日本語を喋ったのだが、理解されてないみたいだ。

 みんなが喋ってるのは日本語じゃないのか、なんだ、頭が混乱している。

「エル、顔が青いベッドに横になりなさい!」

 抱き抱えられベッドに寝かせられる。

 やはり、父の言うことは理解できた。

「すぐにカール先生を呼んでくるから、エルは大人しくしてるんだよ?」

 慌てて部屋を出て行く父を見ながら、先ほどのことを思い出す。

 父の言ってることは理解できた。

 父は俺が言ってることが理解できなかった。

 日本語は理解できないのか?

 じゃあなんで、俺には言葉が理解できたんだ?

 わけがわからないことばかりだ。

 なんで死んで、なんで生まれ変わって、なんで異世界なんだろう。