Code4:PECHEUR

 自爆。しかし、パイロット自身には傷一つつかない。機体の外装を使い捨てて実現する、ハイリスクハイリターンな一撃必殺。

『腑抜けるなと言ったはずダ。お前はお前の仕事を果たセ』

「──っ、おま、え」

 ブラッドは、干からびた喉から言葉を絞り出す。

 そこに、口を挟むようにして電子音声が通達する。


   警告_
   同調(リンク)を強めてください_


 ブラッドが弾かれたように反応。自らの頭とコールガのAIに魔力を集中させ、意識をペッシャールに戻す。

 同調が弱まっていたせいか──実際には同じ速度で接近しているのだが──両者の距離は一気に縮まっていた。第一波の隙間をぬい、迫りくるペッシャールにブラッドは第二波で応じる。

 ペッシャールの回避ルートは、ブラッドの想定通りだった。いくつかのパターンは用意していたものの、おおむね同じ方法で、ペッシャールはコールガのコード・マジックを潜り抜けてきた。

 火球と火球の間に生じるタイムラグ、どうしてもできてしまう隙間──そして、長く尾を引くように調節された弾幕が、ペッシャールを捕える網になる。

 もはや、ペッシャールは直進するしかない。そして、潜り抜けられる前提で待ち構えていたコールガには、迎撃の準備ができている。

 第二波、射出。

 捕らわれたペッシャールを射るように、一発限りの第二波が弾幕の尾に囲まれた中を突き進む。

 ペッシャールは、機銃を撃つことすらできなかった。

 罠にかかった。そう理解するのに時間がかかったのかもしれない。