Code0:SWORDFISH
エラー。機体をかすめるようにして命中した弾丸に揺さぶられ、AIがバランスを保とうと操縦桿に干渉している。一瞬ではあるものの生じてしまった空白の時間、ソードフィッシュは襲撃者からすればいい的だっただろう。
無防備なソードフィッシュに、襲撃者はもう一度すれ違うよう飛びながら弾丸を浴びせる。コックピットと動力源に命中しなかったのは、幸福というべきなのだろうか。反重力機能が正常に動作しなくなったソードフィッシュは、他の友軍機と同様に力なく墜落していく。
その最中、ブラッドはノイズの走るモニタの向こう側に目をこらしていた。すれ違おうとしている襲撃者の横腹は、被弾したソードフィッシュの放つ火で照らされ、「銛で貫かれた魚」の絵が浮かびあがっていた。
水棲生物をモデルとしたシリーズ・エーギルの天敵だと、自ら宣言しているかのようなペイントを目に焼きつけて──ブラッドはなすすべなく、ソードフィッシュとともに海へ墜ちた。
──一時間後、奇跡的に大きな損害を受けなかったソードフィッシュは、海に浮遊しているところを公国軍に回収された。
パイロットのブラッド・ベイリーは重傷を負いながらも生還。死の淵に触れ、魔力を持ち帰ってきた貴重な空軍パイロットとして、『波の乙女計画』に関わることになる。
そして二年後の現在────