第二章 危殆はトラブルと共に

「食物から直接摂取する方法」

 食物から魔力を得る。

 それを聞いた瞬間、朝の一幕がリッキーの脳裏を過った。

「空気中には魔力が漂っているがその量は僅かだ。そして食物から摂取できる魔力は、空気中のそれより少ない」

 聞くに、生命活動を補えるだけの魔力を食物から摂取しようとすると途方もない量を食べ続けなければならないらしい。

 他の魔力供給の方法もいくつか挙げられたが、そのどれもが物々しいというか、禍々しいというか、兎に角、人道(ティアの場合、精霊道だろうか)に背くようなものばかりだった。

 もしもこの状況下、まともな手段があるとすれば、前に挙げた精霊契約による魔力供給が助かる見込みが一番高いとも言っていた。

 そして、幼女が陥っている魔力切れという状態について、体を侵食し始めている痣は魔力不足により正常を保てなくなった体細胞が死滅を始めているサイン。

 精霊は魔力を糧に生きる生物だ。

 魔力が尽きれば精霊は死ぬ。死なないために魔力を得る。

「予兆もあったはずだ。この子供と会話しているのなら目の当たりにしているはずだ。たまに言葉が通じていないかのように会話が噛み合わない時があったんじゃないか?」

 それは、意識の弊害だと。

 魔力不足による意識の途切れだとイアンは言った。

 と、ここまで聞けば、なんの事は無い。

 リッキーは気付いてしまった。

 精霊魔術という、魔力消費たる行動を促したのは誰だったのか。

 毎朝、飽きもせず折れもせず、日の出と共に出向いてくる幼女の契約を蹴っていたのは誰だったのか。