途中、「いまに大変な事になっても知らないかんね!」というささやかな抵抗もあったが、リッキーの咆哮によって掻き消され、山腹を覆っていた霞は薄く途切れて流れて失せた。 そんな朝の一折。 かくして、災難以外の何物でもない精霊と現実に直面する羽目になった青年リッキーの一日は、早すぎる開幕を迎えたのだった。