〇〇八
「だから聞き込みしても無駄足になる可能性が高いっす」
「ふむ」
「で、昨日の聞き込みで『失踪者は同じ血液型である可能性が高い』っていう推論に達したじゃないですか。今回はそこを突こうと思いやす」
どういう事かと言うと、
「これから消えてしまうかもしれない人物に目星を付けて先回りしようってことでさぁ」
確かにそれならば、失踪の現場に立ち会える可能性が高い。
しかし、問題もある。
どうやって失踪者と同じ血液型であるかを特定するか、だ。
基本的に住民は、出生後に出生届を出すことによって住民として登録されるが、血液型の登録は義務ではないので届け出ない人間が多い。献血のために血液型を検査して記録を付けている民間の医療機関もあるにはあるが、個人情報を開示してくれるかどうかは定かではない。
「捜査令状でもあればな……」
顎に手を当てシルベスタは書類に目を落とす。
「んー、いい考えだと思ったんですけどねぇ」
方向性としては悪くない。
ただ、条件が悪い。シチメンドウに捜査令状が降りるかどうかもそうだし、血液型の一致はまだたったの四人でしか確認が取れていないのだ。
と、過去の捜査資料を眺めていたシルベスタがあることに気付いた。
「カエル顔」
「言うなつってるでしょうよ! ……何です?」
「失踪者の中には、経営者がちらほらいたんだな」
言われて捜査資料を掘り返して見るロニ。
「あ……ホントだ」
バーミッドグロウ塗装。
グランツハウス。
ホームタイム・インク。
ざっと見た限り、三社の名称が確認できる。