〇〇六

 中央図書館を出たシルベスタがロニと合流できたのは、それから二、三十分ほど後のことだ。

 失踪事件の聞き込みで絶賛移動中のロニと合流するのは簡単ではなく、元よりシルベスタは報告書が保管されてある図書館に案内してもらうためロニを同行させていただけ。ロニは書類の個人閲覧という目的があってついでに付き添っていただけ。お互いに用が済んだら後は自分の仕事をしましょうといった感じだったから、待ち合わせの場所など決めていなかった。

 決めてなかったし、合流の予定などなかった。

 しかし曲がりなりにもロニは部下。

 自分の目的はひとまず終わったし、部下の仕事を見てやるのも上司の仕事の一つである。

 そんな感じで合流したら恐ろしく怪訝な表情をされてシルベスタは少し傷ついた。

 聞き込みの状況を聞くと、少し進展があったらしい。

 新しく手に入った情報は二つ。

 まず一つ目。

 失踪者の共通点について。

 失踪者は皆、同じ血液型である可能性が高い。

 その可能性に辿り着いた理由として、ロニが聞き込みの中で失踪者の家族から聴取した話に判断の要素がある。

 失踪者の一人は姿を消す当日、買い物の途中で献血をしたらしい。失踪者の血液型は珍しい種類のそれであり、輸血用のストックが慢性的に足りていない。