一、世界はそれを成り行きという


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 駅前の通りを抜け、二、三本大きな道を跨ぐと人の数が明らかに減った。

「ちょっとシルバ、駅から離れすぎですよ」

 隣を歩く大男を見上げながら注意を促すロニの表情は曇り気味だ。

「離れすぎたら問題あんの?」

「問題あんのって……フリックさんが馬車の手配を取り直してくれてるんですよ? 僕たちがいなかったら心配するかもしれないじゃないですか」

「いいんだよ。待たせときゃ」

「良くないです、戻りましょう!」

「あーもーお前っていっつもそうだよなー。人を待たせんのは嫌なのにブチ切れて列車壊したりよー。常識的なの? 非常識的なの? あるいはその両方なの?」

 列車の話を持ち出されると反論のしようのないロニは、うぐぐと呻いて苦悶の表情を浮かべる。

「まあまあ、そんな顔しなさんな。馬車の手配なんて、すぐには終わんねえから」

「なんでそんな事が分かるんです?」

 ロニの疑問にシルバは答える。

「まず、政府とか上流階級の人間ってのはステータスっていう、それはそれは面倒な認識を持っていてだな。見た目にこだわったりするわけよ」

「はあ」

「権力誇示も仕事らしいぜ。で、そのために装飾車なんて使うとなると普通は外に出してないから、車庫から出さなきゃならないのよ」

 そこで時間を使うことになる。とシルバは説明する。

「あとは書類だな」

「書類?」

「ああ。政府の人間は、政府に付けとくもんだろ。代金を」

「経費って事です?」

「そんなところだ。分かった?」

 なんだか大分穿った考えのような気もするが、