第四章

 ──三日後。


 レビは円柱型の部屋にいた。建築材料である石が剥き出しになっている内装はどこか寒々しいが、天井から差しこむ自然光があちこちで反射して室内に満ちている。狭い床面積に対して天井はかなり高く、塔の中を思わせる構造だった。

 部屋の中央には、一段高くなった円形の台座と、そこに刺さった剣、そして剣の周囲をまわる一枚のカードがあった。

「……【正義】」

 ぽつりと呟いた言葉は、レビにとっては大嫌いな言葉だった。

 正義と呼ばれ、正義として扱われ、正義を強要された日々は、レビの記憶にまとわりついて離れない。父殺しの罪も、それまでに積み重なった殺人の罪も。

 レビは正義からほど遠いところにいる。清廉でもないし、潔白でもない。

 それでも【正義】のカードと向き合おうと思えたのは、レビが自分の力と自分の意志で生きていくことを決めたからだ。誰かに服従するでもなく、誰かに利用されるでもなく、自分の足で立って歩くことを決めたからだ。

 カードとの相性が悪ければ、デメリットだって被りうる。〈十三番〉が名前と両腕を失ったのはそのせいだし、それを考慮すれば最悪の場合、死んでしまってもおかしくはない。

 けれど、レビを止める理由にはならなかった。

 今までは、エイドの掲げる正義に従ってきた。これからは、自分自身が信じる正義に従う。

 大嫌いな言葉であっても、もう一度、真剣に向き合わなければならない。〈十三番〉がレビに変容のきっかけを与えてくれたように、誰かを救いたいと思ったから。

 後悔しない選択をすると、心に決めたから。