猫又

 私は、人間もそう捨てたものじゃないと思う。

 確かに、愚かでうるさく群れでしか行動できない下等生物だとは思うがこれだけしか見てないなら人間のことを語ってはいけないと思う。

「ミャーちゃん、ミルクとパン持ってきたよーー」

「ナー」

 今、私のもとにご飯を届けてくれたのは近くのパン屋の娘、葉矢根 あかりだ。毎日焼きたてのパンとミルクを持ってきてくれる。熱くて食べずらいので焼きたてじゃなくてもいいんだが、まだ四才の娘に察せというのはひどいだろうか?

「ミャーちゃんはなんで尻尾がわかれてるの? お怪我?」

 私の尻尾がわかれてるのは、猫又と呼ばれる妖怪だからだ。怪我と聞きながら容赦なく触ってくるのはなぜなんだろうか。

「ナーー」

 食べ終わったので鳴いてアピールするが尻尾に夢中で気づいてもらえない。あかりの足に身体を擦り付け気づかせる。

「ごちそうさまは!?」

 無茶言うな。急に喋ったらびっくりするだろ。

 私は大方の人間は嫌いだがあかりは好きだ。優しい笑顔がたまらない、知り合いの八咫烏にこのことを話したら『あーお前、ロリコンだったのか』とか言い出したので羽を毟って十円ハゲをつくってやった。

「ミャーちゃんがお家に居てくれたらなー」

 両親はパン屋で忙しく、家に帰っても遊び相手がいないと言うあかりは、家だけじゃなく幼稚園にも友達はいない。ボッチだ。

「お友達欲しいな・・・・・」

 そんな悲しそうな顔をしながら私を見ないでくれ。

「そろそろお夕飯だからまたね?」

 友達か、私にもろくな奴はいないが紹介してやるか。



「あかり、起きろ、遊びに行くぞ!」

「んーー、だーれ?」

 お腹の上に乗っている私を見てびっくりしたようだ。目がパチクリしている。

「私の友達を紹介してやる、ついてきな」

 窓の方に歩いていくとあかりも目を擦りながらついてくる。

「こいつらが私の友達だ! 変な奴らだがそこらの人間よりはいいぞ」

 あかりの目が大きく見開いていく、恐がってるのかと思ったが綺麗な目はキラキラと輝いている。

「ほら行くぞ」

 八咫烏の背に飛び乗るとあかりも付いてこようとするが四才の女の子には少々無理難題だったみたいだ。

「ろくろ! 乗せてやってくれ」

「仕方ないねー ほらお嬢ちゃん、私の首にまたがりな」

 あかりがろくろっ首の首に恐る恐る跨ると、スルスルとろくろの首が伸び八咫烏の背にあかりの足がつく。

「よし、八咫よ飛べ」

「あいあい」

「あかり、そこらへんの羽でもつかんでいろ、落ちるぞ」

「もう、落ちちゃってるよ」

 ろくろに言われ後ろを振り返ると急上昇してる八咫の背から急降下してるあかりの姿が見える。落ちてるのになんであかりは笑っているんだろうか。

「八咫よ、あかりを助けておくれ」

 空中でUターンし、落ちてるあかりに近づいていく。

「わーすごーい、ジェットコースターみたいだった!」

 背が足りないからまだ乗ったことないだろうが、八咫の口にくわえられてるあかりは楽しそうに笑っている。

「なんで羽を掴んでなかったんだ、危ないだろ」

「あそこだけ羽なかったよ?」

 あかりにそう言われあかりが乗っていた場所を見ると十円ハゲが出来ていて羽が生えてなかった。

「……すまん」



「ミャーちゃんご飯だよー」

「ナー」

 昨日はあれからずっと夜間飛行を楽しんだ。途中、飛行機の乗客に見られるというハプニングがあったが気にしない。

「昨日ね、すごい夢見たんだよ! お友達がいっぱいできる夢!!」

 人間じゃないがな。

「また、遊びたいなー」

 楽しそうで何よりだ。

「ナー」

 食べ終わったのでアピールする。

「ごちそうさまは!?」

「ごちそうさま」