目が覚めたら

 エルヴィン、それが今の名前でなんか大きな病気をしていた。

 四年も寝たきりなら相当だ。

 あの女神様が母親で若頭が父親。

 あのドアの前にいた、他の人達はなんなのだろうか。

 執事みたいな人もいたし、カールさんが言うには料理長もいる。

 いいとこのボンボンなんだろうか。

「静かにしないとエル起きちゃうでしょ!!」

「僕の所為じゃないだろ!! 乱暴にドアを開けたメフィスが悪いんじゃないか!!」

 今の状況を考えていると、部屋に子供が入ってきた。

「ほら! こっちみてる!」

「起きてるとこ初めてみた!」

 そりゃあ、そうだ。先ほど目覚めたばかりだからな。

「えーとえーと、私はメフィス!!」

「それじゃあ、わかんないだろ? やあエル、僕はエルのお兄ちゃんでドリーって言うんだ、よろしくね」

 どうやら兄と姉もいるらしい。

「私は!お姉ちゃん!」

 姉はすごく元気がいい、耳元で大声を出してくる。

「まだ、元気じゃないのかな? 大丈夫かい? エル」

 兄は優しい、気づかってか頭を撫でてくれている。

 普通に照れてしまう。

 感情があまりコントロールできていないみたいだ。

「ドリー様、メフィス様、エルヴィン様はまだ体調が優れないようですのでまた明日にされたらいかがですか?」

 いつの間にか執事の方が室内にいる。

 兄と姉に気をとられていた。びっくりした、心臓に悪い。

「この屋敷で執事長をさせて頂いております、アーサーと申します、ご用がありましたら手を叩いて頂けたら参上いたしますので」

 アーサーさんは一礼すると兄と姉を連れて出て行く。

「あらあら、賑やかだったのね」

 アーサーさんとすれ違いで母が入ってくる。

 なにやら果物らしき者を切ってもってきてくれたみたいだ。

「今日はこれを食べて寝なさい? 眠くないかもだけどちゃんと寝なさいね?」

 目の前に果物を差し出される。

 これはあーんって奴だろうか、頬が赤くなるのがわかる。

 口の中に入れた果物は、味はりんごだが柔らかさは熟しすぎた桃だ。

 食べれなくはないが脳が混乱している。

「それじゃおやすみなさい」

 横になり、布団をかけられる。

 扉が閉まる音がする。

 今日あった出来事を思い出しながら自然と笑みが溢れる。

 こんな人生もいいかもしれない。