同封されていたメモを開くと水上からのメッセージが。

「これで足りると思う」

 思うというか、ぴったりだった。きっちり丁度だった。

 こちらの行動などお見通しだとでもいうのだろうか。メーカーで微妙に値段が変わってくるのにそれすら織り込み済みで、何を選ぶかは分かり切っていたということなのだろうか。

 いずれにしても見透かされている。もしくは行動を監視掌握されている感が否めない。

 背筋に悪寒を覚えつつ、できるならば前者であって欲しいと六呂師は願う。

 願ったところでどうなることもないが。

 六呂師はそのまま会計へ向かう。途中、進路上にあるお菓子コーナーで、いつも食べているチューインガムを取り(これは自腹)、レジから伸びた列の最後尾に──並ぼうとした時だった。

 レジゾーンから少し離れたブース。

 スーパーと同じ建物内にある書店。

 雑誌や書籍が並ぶそこに、見たことのある顔を見つけた。

 黒いスキニーパンツとグレーのジップアップパーカーを着た女子。パーカーのフードを被った女の子。

 簡素な格好でありながら、しかしシンプルな服装が似合って見えるのは造形が整っている証拠。飾らず、気取らず。フードを被っていることを差し引いても、そのありのままありふれたファッションが素材である人間の良さを引き出している。いや、引き出してしまっていると言った方が正しいのだろう。何故ならその女の子が、まるで自分の存在を知られないようパーカーのフードを被っているように六呂師の目に映ってしまったのだから。

 六呂師は、まるで吸い込まれるようにその人物へ近寄った。