少し間があって、スマートフォンから音声。

『やればできるじゃないか』

 六呂師の腕の中で動悸を起こす当夜坂凜子。

『疲れちゃったかな? そうやってしんどい思いをしていれば、君は影を失くさずに済んだのにね』

「あ、あなたは、何を、知っているんですか」

 胸を押えながら、影のない少女は問う。

 しかし一蹴。

『さあ。なーにも知らないよ。まあ、』

 けれど瞬転。

『君の影を元に戻してあげることくらいなら、できるね』

 そう、断言しよう。水上は静かにそう言った。

『これは見極めの話だ。どうありたくて、どうありたくないのか。何が間違いで何を正したいのか。っていうのとは別もの。もしも君が影を取り戻したいというのなら、まずは、直接会って話をしよう』

「……直、接」

『安心していい。私は、女の子に手荒な真似はしないさ。とりあえずは、そこにいる絶滅指定危惧種並みに珍しいリアルボクっ娘について来るといい。文字通り、水先案内人というわけだ』

 言われて当夜坂凜子は、六呂師の顔を見た。

 思いのほか距離が近い。

「……っと」

「ご、ごめん」

 あわてて離れる当夜坂凜子。六呂師も、いまようやくこの近すぎる距離に気付き、あわてて彼女から距離をとって居住まいを直した。

『ま、そんなわけで、案内頼むよ。六呂師くん』