第四章

 ハイジアと管理者ではなく、実験対象と科学者でもない。

 ヴィオレと御堂祐樹として。

「よく頑張ったね、ヴィオレ」

 御堂の言葉に、ヴィオレは目を閉じる。

 足りなかったなにかは、欲しかったなにかは、必要だったなにかは、きっとこの言葉だ。

 頭の上に乗せられた手は、思っていたよりずっと大きかった。