第一章 トラブルは横暴幼女と共に

「あなたで留めている問題。果たして、あなた達だけで解決できますか? 察するに、裁定基準に影響しかねないとお考えのようですが私にだけ話してくださるのならば、そうですねえ」

 ヒューゴーは一拍置いて、

「揉み消すぐらいの配慮はしますが」

 淡々と。口の端を僅かに吊り上げながら告げる。

 窓から見える街の風景には、確かに子供の姿が少ない。人ごみを行き交うのはみな大人ばかりだった。

 もしかすればそれは、ただ単純に室内に居るとか今日は別の所に居るとか、そういった理由があるからなのかもしれない。

 しかし、それならそうと簡潔に理由を述べればいいだけの話。言葉に詰まる道理もない。ともなれば──。

 クローク姿の男は、慎重に口を開く。

「…………実は、一週間前から街の子供数人が失踪していまして」