アニマルセラピスト

 このゲームには、不思議な噂がつきない。ローマ字を狂ったように連呼する幼女、朱目が見守る洞窟などプレイヤーを飽きさせないゲームなのだ。

 そしてこれもこのゲームの噂、本当か嘘かわからない噂。



 このゲームの中にも癒やしを求めるプレイヤーがいる。そんなプレイヤー達に人気なのが『癒やしの国』と呼ばれるワールドだ。

 温泉施設、マイナスイオンあふれる自然、そしてアニマルセラピー。

 人気のある通りから少し外れたとこにある、動物との触れ合い施設、現実にいる動物はもちろん、このゲームで人気のモンスターとも触れ合える穴場スポットである。

「いらっしゃーい、存分に触れ合ってね」

 この施設の管理人、桐崎 零子。見た目、幼女な彼女1人でこの施設を運営している。

「ほら、このアヒルさんとか可愛いですよー?」

「グワァーガー グワァーガー 」

 抱き上げたアヒルに全力で嫌がられ、逃げられてしまう。落ち込んだ彼女を後目に動物を見に行くプレイヤーに桐崎は聞こえるか聞こえないかわからない、か細い声で。

「ごゆっくり〜」



「楽しんでますか〜?」

 あらかた周り終えたプレイヤーに背後から声をかける桐崎、近づいてきていることに気づかなかったのかプレイヤーは少し驚いている。

「次はとっておきの場所にお連れしますよ? 最高の癒しを堪能しましょ〜」

 笑顔の桐崎に付いていくプレイヤー達もどこか楽しげでどんな動物がいるか話している。

「つきましたよ〜 さぁさぁ、そこのプレイヤーさん開けちゃってください」

 重い鉄の扉を開けると柵と藁がしかれたスペースだけがある部屋、動物も居なければ癒やしになるような物などない。不気味差のほうが上だ。

 プレイヤー達が戸惑っていると重い鉄の扉が閉められる。閉めた桐崎のほうプレイヤー達は注目する。

「ここは家畜部屋になりまーす。生憎家畜は今居ないんですけど大丈夫です! たった今、連れてきましたから」

 可愛らしい笑みを浮かべていた桐崎から想像もできない冷酷な笑みにプレイヤー達は固まってしまう。



 癒やしの国のアニマルセラピー、入っていくプレイヤーを見た者はいるが出てきたとこ見たプレイヤーはいない。

 このゲームの噂。