ネコズキン

 猫耳の幼女がテーブルの上で寝ている猫に、ズキンを被せようとしている。

「何をしてるんだお前は」

 猫から発せられたとは思えない、低く渋い声が響く。

「……おでかけ」

 猫に無理やりズキンを被せると自分もズキンを被る。

「……よしっ」

「耳がでてるぞ? ズキンを被る意味がないじゃないか」

 そう言いながら猫は、二本足で立ち上がり前足で器用にズキンを被せる。

「んふふ〜 ……ありがとう」

 幼女は鏡で自分の格好を確認してから、猫にリードをつける。

 両前足でリードの位置を確認する猫。

「そう言えば出かけるってどこにだ?」

「……んっ、お仕事」

 幼女が見せた紙には、『暗殺』と書かれている。

 窓から差し込んだ光で猫の爪が怪しく光る。「おっおぉ、仕事か」

「……うん、行く」

 一人と一匹はまるで散歩に行くように軽快に家をでていく。