ようじょ1

 星明りが夜の闇に瞬く。

 本日は晴天なり。

 天気予報によるとこの晴天はしばらく続くようで、本格的な気温の上昇について注意を促す旨のインフォメーションが各メディアで入り乱れている。

 もっとも、梅雨から明けたばかりだからそうでなくては困る。

 ただでさえ今年の梅雨は長かったというのに、これでもし高温多湿の状況が続くようであれば電力消費量が跳ね上がる事うけあいだ。

 併せて大規模停電が起きようものなら、『きちんと計算してある。問題ない』と豪語し、原発の稼働停止を籠絡して取り付けた政府へのバッシングは大変なものになるだろう。

 街の照明が少なくなっているのは、そういった問題を未然に防ぐための杖である。

 そんな街を見下ろす人間が一人。摩天楼の屋上──ヘリポートから、目下に広がる巨大な街を俯瞰していた。

 通学用の黄色い帽子から伸びたアクアブルーの髪が風に煽られてなびく。

 背負った赤は傷だらけのランドセル。ノースリーブのボタンシャツとミニスカートから伸びる矮躯は色白で華奢。

 年齢十歳前後の幼女だった。

 肩がピクリと跳ねる。

 ブラウンの大きな瞳が闇夜をかき分け、何かを発見したらしい。

 幼女は帽子のつばを両手でつかみ、食い入るように前かがみになりながら悪戯っぽく笑った。

「たーげっと・ろっくおんッ☆ 来栖くるり──これより交戦体勢に入る!」