〇〇六

 ロニは別の失踪者の家族にも血液型の話を聞いてみた。すると、その失踪者も同じ血液型だったのだ。さらに聞き込みの途中で一旦軍舎に戻ったロニは、失踪してしまった軍部関係者のプロフィールの閲覧を、当人たちが所属していた部署に直接要請した。恐らくその部署も一度打ち切られた事件の真相を明らかにしておきたかったのだろう、事情を話すと承諾は驚く事に二つ返事で得られ、二名のプロフィールを閲覧することが出来た。

 ロニが確認したかったのは血液型。

 血液型は検査を受けていない人間もいるから不明ということも多々ある。が、軍部関係者の血液型は運よくどちらも明記されていた。

 結果、民間人二人と軍部関係者二人の血液型が同種のものであることが判明したのだった。

 次に二つ目。

 目撃者の証言から。

 真夜中の街で山羊を見たらしい。

 しかも内壁の近くに一頭だけ。

 山羊を目撃したという場所に案内してもらったところ、壁の一部に何かに削られたような痕跡があるのをロニは確認している。それを聞いたシルベスタも現場まで行き、壁を確認したら確かに痕跡があった。

 バフォメールが街に入った。

 と考えるのが自然だが、街と外を隔てる門は夜間になると閉じられてしまう。登ろうとしても壁は垂直だし、係長の話を思い出せばそもそも街周辺に山羊が生息しているかどうか怪しいところ。

 動物の分布を調べるため鳥獣保護局に足を運んでいる途中、ロニは「ぽっと湧いて出たんすかねぇ」とふざけた事をぼやく。何を馬鹿なことを、と思ってしまうがそうでもないと説明がつかないのもまた事実。