焼却炉

 この学校には、某掲示板でも噂になるほどの幽霊がでる。

 焼却炉のさっちゃん、ここの幽霊の名前だ。昔、イジメを受け自殺した生徒の幽霊らしい。なんでも、私物を焼却炉で燃やされその次の日に屋上から飛び降りたはそうだ。その日は文化祭の初日だったらしい。

 それ以降、文化祭の時期に焼却炉に近づくと「私の鞄しらない?」と話かけられ返事をすると焼却炉に引きずり込まれるんだとか……

 今では焼却炉は使用禁止になっている。まぁ、幽霊の件とは関係なく使用禁止になったのだが、幽霊は本当にいるらしい。

 俺はこの時を待っていた。人間なんかに興味のない俺は、前の職場をやめ、すぐにこの学校の事務員に応募した。すべてはこの時のため。彼女に会うためだ。

 俺は年下派なのだ。愛に種族も歳も関係ないというのが持論だ。

 この日のために、ラブレターも書いたし、彼女にプレゼントするためのブランド物のバックも買った。

 あとは出会い、恋に落ちるだけである。 夕方が目撃情報が高い。掃除にいくふりをして出てきた。

 体育館裏の敷地ギリギリに焼却炉はある。その一角は草刈りを禁止されていて、焼却炉を隠すかのように草が生い茂っている。いかにもである。

 ここで待っていると後ろから話かけられ、返事をすると焼却炉に連れ込まれ、返事をしないと付きまとわれるらしい。どっちに転んでもハッピーエンドだ。

 そう今日こそ、運命の伴侶を捕まえるのである。

 焼却炉の近くに立ち、数分が経過した。すると後ろからザッザッと足音が聞こえてくる。

 焦らず、ラブレターをポケットから取り出し、プレゼントを地面に置く。近づいてきたらふり向きラブレターを渡す。シュミレーションは完璧である。

 足音が近くで止まる。今だ!

「待ってました! 読んでください!」

「何? 君なんでこんなところにいるのさ」

 はげちゃピンがそこには立っていた。この学校の校長である。

「あっ、もしかしてここに隠してあるの見た? あっちゃー でも同じ男ならわかるだろ?」

 はげちゃピンが焼却炉を開けると 中から、大量のR-18の本が出てくる。

「幽霊の噂流してから近づく人いなかったのになー」

 また、新しい出会いを探さなければ。