犯人像

 ○月○日、世にも珍しい宝石『オールブルー』が盗まれた。場所は美術館の一室。時刻は閉館10分前、扉の前にいた警備員は気づかず、監視カメラもとまっていた。入れる場所は入口の扉のみ。10分の間に何があったのかそれがわからない。

「犯人はどこから入ったのか……」

「警部! 怪しい奴が!」

 連れてこられた人物を見て、警部はため息をつく。

「なんでお前がここにいるんだ」

「オールブルーを見にきたんですけどね、何かありましたか??」

「離してやれ」

 戸惑いながらも離す若手刑事は何がなんだか分かっていない。

「こいつは青海 真太っていう探偵見習いだよ」

「詳しく状況を教えてもらえませんか?? この事件私が解決してみせますよ」

 美術館内には閉館前とのこともあり、館内に残っていた人数は少なく。容疑者は限られていた。

「聞く限り、空白の10分の間に盗まれたんでしょうね」

「そんなことは分かっている、最後に宝石を確認したのは扉を閉めた警備員だ」

 扉の前に立っている警備員に話を聞く。

「警報がなるまで部屋に近づいた人はいませんでした、警報が鳴ったときにはもう宝石はありませんでしたし、展示室も特にかわった様子はなかったです」

「あなたは警報がなるまで何を?」

「ずっと扉の前にいました、警報がなったので扉を開けたらもう宝石はなかったです」

「そうですかありがとうございます、次は受け付けのかたですね」

 受け付けにいくまでに警備員のアリバイを確認する。

「警備員は扉の前にずっといたのが確認されている、あいつが言ってることは事実だ」

 受け付けは2人いた。1人はスタイルのいい女性で噂では元グラビアアイドルで館長の不倫相手だそうだ。もう1人は、学生でアルバイトしているらしい。

「お2人は警報が鳴ったときどこにいました?」

「館長と約束があったのでここにはいませんでした」

「トイレに行っていました」

「2人ともここにはいなかったんですね」

 次は館長室にむかった。館長室はこの館の警備室もかねていて監視カメラと警報器は設置されている。

「お2人は何をしていましたか?

 館長室には監視カメラを管理する警備員1人と館長がいた。

「お2人はなにを?」

「私は館長に見回りをしてきて欲しいといわれたので見回りにでていました」

「ここにいましたよ、受付嬢の1人も一緒にいましたよ」

 これが館内にいた全員だ。宝石が飾られていた部屋に戻る。

「ここはそのままなんですよね?」

「ああ、当たり前だろどこもいじってない」

 室内には窓はなくあるのは換気ダクトのみだ。

「真ん中に展示されていたんですね」

「なんか分かったか?」

 真太は室内をまじまじと見てニコッと笑う。

「犯人はあの受付けの貧乳のほうですよ! この換気ダクトを通って宝石を盗み、トイレの換気ダクトからでて何事もなかったかのように戻った!!」

「根拠は?」

「盗むには確実にこの換気ダクトしかありません! ここを通るのは成人男性じゃ無理です! そして女性はあの2人しかいませんが! 巨乳にはここを通るのは無理です! あの元グラビアの胸じゃ詰まるでしょう! だから貧乳なんです!!」

 若手刑事が駆け寄ってくる。

「犯人が自首しました。犯人は扉の前にいた警備員です! 館長に金で雇われ盗んだそうです、調べたところ宝石に多額の保険金がかけられているのがわかりました」

「館長に事情聴取だ」

「たぶん、貧乳は館長のことが好きで……」

 真太を置いて刑事2人は出ていく、真太はまだ熱く犯人像を語っている。

「警部、なぜあの男を好きにさせていたのですか?」

「あいつは推理の方は全くダメだができる探偵の雰囲気だけは出ているんだよな、その雰囲気にやられて自主する奴がいるからな今日も役にたったよ」