相部屋の関係
五月の晴れを五月晴れというが、六月の晴れをなんていうのだろうかそんなことを六月の雨の日に考えてるあたり俺は馬鹿なのだろうか。
「どこも行けねー」
「たまにはいいじゃん」
「なんでお前いんの?」
雨の日は部屋でのんびりしようと決めて、一日引きこもり計画を立てて一人でひきこもっていたはずなのにどっから入ってきたんだろうかこいつは。
「御札をはがしたあの日から貴方と私の運命は始まったの・・・・・・ なんか小説の一文みたいじゃない?」
長い黒髪をかき分けてこっちを見る姿に一瞬ドキッとしたが透けて見えた後ろの本棚にある『熱血番長!!』の文字を見て我に返る。
駅近、六畳二間、風呂、トイレ別の平屋で月二万、安いなと思ったが相部屋だったとは思わなかった。
先住民の黒髪美女は、押入れの中に住んでいた。
どこから持ってきて、どうやって飲んでいるかわからないコーヒーを片手に「ここ私の部屋ね」の一言には恐怖を超えて混乱が先に来た。混乱している頭で思ったことは邪魔だからと言って部屋の御札は闇雲に剥がさないほうがいいということ。
「雨っていいわよねー ジメジメしててこう、力が湧いてくる感じしない?」
「俺、生きてるんで」
「私は生きてる時も力湧いてくる感じしたわよ」
どんだけ暗い性格だったんですか。雨で元気になるのってナメクジくらいしかでてこないんだが。
「今日は押入れの中にいないんですか?」
「あなたが休みの日くらい、一緒にいたいわよ」
たまにドキッとする一言を言ってくる。言った本人も恥ずかしいのか顔を背ける、心無しか顔も赤い…… いや、青白いままだ。
こいつは俺にとってなんなんだろう。出迎えてはいつもしてくれる。たまにWiiフィットをしていてしてくれないときもあるが。
俺が家でのんびりしていると押入れから出てきて、隣に座ってくる。これはなんなんだろうか付き合っているんだろうか。
「みたいな具合なんだ、どう思う?」
「それは憑かれてる」