田村さん家のペット録
3月14日はホワイトデーとかいうイベントがあるらしい。なにをするイベントかわからないけど……
「アルフ、ミーヤご飯だよー」
美紀ちゃんがご飯を用意してくれたみたいだ! ボールでいっぱい遊んだからお腹空いてたんだよね!!
ご飯を食べに行くとミーヤさんがもうご飯の前にいた。ミーヤさんも食いしん坊だなー
「この後ね、隆くん家にお呼ばれしてるんだー、おとなしくしててね?」
今朝からこんな感じで美紀ちゃんはずっとニタニタしている。頭撫でられるのは嬉しいんだけどご飯食べづらいよー
「ごちそうさまー」
美紀ちゃんには意味は伝わらないけど意思は伝わるってミーヤさんが言ってた。
「アルフはもう食べたの? ……あれミーヤたべてないじゃん」
僕より早く来ていたのにミーヤさんはさっきと同じ背筋をぴーんとした状態で座ったままだ。
「どうしたのー 食べないのー?」
「乙女にはいろいろあんの!!」
ミーヤさんはニャーとなくと美紀ちゃんから離れ、キャットタワーの一番上に行ってしまった。
なんか怒られた……
「アレはシットだナ」
僕の頭の上にインコのクー様が着地する。
「クー様、シットってなに?」
「オンナはメンドクサイいきものッテてつじガイッテタカラナ、ミキちゃんがオンナのシアワセをゲットするのがクヤシインダロ?」
女の子って難しいんだな……
「どうしたら機嫌なおる?」
「キョウはホワイトデーだカラナ、ミーヤにナンカあげたらイインジャナイカ?」
プレゼントか、僕ボールしかもってないよ…… ヨダレでよごれてるけど喜んでくれるかな?
でもこれあげたら僕が遊ぶのなくなるしな……
ウキウキしながらお出かけの準備をする美紀ちゃん、キャットタワーで寝る体制のミーヤさん…… 二人が仲良しにもどるなら!!
「ミーヤさん! ミーヤさん! これプレゼント!」
「……その汚いボールを?」
「あのね、僕これしか持ってなくてクー様がプレゼントしたらミーヤさんが美紀ちゃんのことシットしなくなるって!!」
「あのクソ鳥、中途半端な知識吹き込みやがって……」
あれ、なんか怒ってる…… こんな汚いボールじゃダメだったのかな?
「……はぁー、私は大人の女だからボール遊びはしないの! けどたっ、たまに一緒に遊んであげるくらいならいいわよ?」
ミーヤさん、嬉しさのあまりキャットタワーを昇ってミーヤさんのもとに走って行く、スリスリしながら喜んで泣いてるとにぼしの袋を持った美紀ちゃんが近づいてきた。おやつかな?
「ミーヤ!! 戸棚にしまってたにぼし食べたでしょ!! だからご飯食べなかったのね!?」
ミーヤさんはキャットタワーから飛び降りるとそさくさとリビングから出ていってしまった。
なーんだシットじゃなかったんだ。 よかった。