少年の一日

 カーテンからの木漏れ日が次第に明るくなるにつれ、今日もベットの中で思う。また、めんどくさい1日が始まる……

 カーテンを閉めたまま、着替えて部屋をでる。最近は、カーテンを開けることも少なくなった。


 支度をすませ、朝ご飯が並んでいるテーブルに座る。目の前には温かそうなご飯が並んでいるが喉を通りそうにない。

「あら、今日も食べないの?」

「……最近、熱っぽくて」

「最近、続くわね。一口でもいいから食べなさい? 明日、病院行ってきなさい、お金置いとくから」

 母はそう言うとスーツの上にコートを羽織り玄関に行く、それを見送りながらインスタントの味噌汁を一口すする。

「今日も遅くなるから」

 母はそう言って出て行く。

 テレビをつけ、しばらくぼーっとした。

「行かなきゃ……」


 家を出てまだ二分くらいだが動悸がヒドい、胸に手を置かなくても胸がバクバクいっているのがわかる。

 電車に乗らなきゃいけないが、人がいるとこに行きたくない。歩くペースが徐々に落ちていく。


 改札を通り、ホームで待つ。立っているだけなのに動機は止まらない。

『英語の宿題やってきた?』

『昨日、夜に健太から電話あってさ』

『今日、帰りに31よろうよ』


 まわりの声が耳に入るたび視界が歪む。

『三番線にまもなく、電車が参ります。 黄色い線の内側に下がってお待ちください』

『うわー、学校行きたくねー、事故でも起きねぇかな』

 すぐ後ろから、そんな声が聞こえる。

 自然と足が前にでる、電車の光が段々近くなっているのがわかる。


 身体に強い衝撃が走る、全身に痛みがまわる。

「キャーーー」

「おいっ、誰か駅員呼んで来い!!」

「おいおい、マジかよ……」

 周りの声が聞こえるが、視界は歪まない。もう、明日が来ないと思うと気持ちが楽になった。