ロボ?
上手くいった、そう上手く行ったはずなのだ。
警備ロボットを停止させ、声紋認証も指紋認証もあの27桁の暗証番号さえ気づかれずに開けた。
中に入ってたのは、今じゃ使われなくなったUSBだったがこれを届けるだけで、一生遊んで暮らせるのだ。
でもなぜだ、先ほどから誰かに見られている、見られているなんてもんじゃない睨みつけられている。
どこからだ、どこから見ている。
『error、error 車のエンジンにトラブルが起きました。 車から離れてください』
車からの警告音にわけもわからないまま飛び降りる、直後に爆発音と共に車が炎に包まれるだが車のことなど気にしてられない。
失敗したら俺は死ぬんだ、這ってでもあの場所に行かなければいけない。
「はーい、ストップゥウ大人しく抵抗しないで、研究所から盗んだ物を返してくださいコンチクショー」
声がしたほうを向くと炎の中から上下、黒のスウェット姿の男が現れる。
警戒はしているが、格好が格好なだけに緊張感がででこない。
「君ねー、俺は今日、非番だったんだからね?、コンビニで今週のマンガのデータ、アップロードするつもりだったのに?」
男がしゃべってる途中だったが、依頼主から貰った拳銃で男に向かって発砲した、運が良かったことに弾丸は、男の眉間に当たった。
死んだ奴に構ってられない、男から目をそらし、走ろうとしたが腕を捕まれる。
「残念ながら、対人間用暗殺兵器くらいじゃ死なないのさ、俺もロボットだから」
男と目が合った瞬間、わかってしまった。
先ほどまで感じていた、鋭い眼光はこの男のものだったんだなと。
わかった瞬間、みっともないが腰が抜ける。
足も笑ってしまっている、どうやらこの男に心底、恐怖してしまっている。
「逃げない? 逃げれないのか」
男の言うとおりだ、逃げれない。
逃げれはしないが抵抗はできる。
警備ロボットを停止させた、ウィルスを発射させる銃を懐から取り出す。
この距離なら当たる、ロボットなら効果はある。
引き金を引くとコードが伸びていく、だがあっさりとコードを掴まれてしまった。
だがこれでいい、この兵器は触れたらロボットに感染するんだ。
「あーOK、言い忘れてた、対ロボット兵器も聞かないんだよ、特別なロボットだから」
「こちらクレーエ、ダーヴィット博士の設計図は死守しました」
『error、フルネームでお願いします』
「ちっ、ダーヴィットR.Vogel.krah、ダーヴィット博士の設計図死守しました」
『報告完了しました、ゆっくりお休みになってください、クレーエさん』